今回は令和6年6月21日公開の映画「朽ちないサクラ」についてネタバレありで語っていきます。
結論から言うと、面白かったけど「何かが足りない」感があります。
決して「つまらない」わけではないです。
そんななんとも微妙な本作についてこれから詳しく感想を書いていきます。
ラストシーンにも言及しますので、未見の方は読まないでください。
あらすじ
たび重なるストーカー被害を受けていた愛知県平井市在住の女子大生が、神社の長男に殺害された。女子大生からの被害届の受理を先延ばしにした警察が、その間に慰安旅行に行っていたことが地元新聞のスクープ記事で明らかになる。県警広報広聴課の森口泉は、親友の新聞記者・津村千佳が記事にしたと疑うが、身の潔白を証明しようとした千佳は一週間後に変死体で発見される。後悔の念に突き動かされた泉は、捜査する立場にないにもかかわらず、千佳を殺した犯人を自らの手で捕まえることを誓うが……。
引用:映画.com
作品情報
引用:映画.com
原作 | 柚月裕子 |
監督 | 原廣利 |
主演 | 杉咲花、安田顕、豊原功補 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2024年 |
上映時間 | 119分 |
レイティング | G |
ネタバレあり感想
引用:映画.com
雑感
面白かったです。
退屈せずに楽しめました。
2時間の間、眠気も襲ってきませんでした。
ただ、冒頭でも話したとおり「何かが足りない」と思ってしまったんですよ。
より具体的に言うと、「2回以上観ようと思えなかった」という気持ちです。
それにわざわざ映画館で観るインセンティブがないと感じてしまったのは僕だけでしょうか?
「2時間のテレビドラマで十分じゃね?」感が否めません。
とは言っても映画館で観るからこそ2時間ぶっ通しで集中できるメリットはありますので、個人的にはオススメできる作品でした。
少なくとも本作と同日に公開された映画「ザ・ウォッチャーズ」を観るくらいなら本作を観た方が有意義な時間を過ごせそうです。
※「ザ・ウォッチャーズ」はかなり賛否が分かれており、好きな人はとっても好きみたいです。
演技はかなり良かった
ストーリーの面白さは別として、俳優の演技には釘付けにさせられました。
一番惹かれたのは豊原功補さんですね。
あの豪傑っぷりは観ていて気持ちが良いですよね。
身体もデカいし無双感がありました。
そのゴツ男と見た目清楚で線の細い泉ちゃんのコントラストも個人的な面白ポイントでした。
ラストの締めくくりは良かった
結局、ハッキリとしたことは分からないまま映画が終わります。
ラスト、「富樫(演:安田顕)がすべての黒幕なのでは?」という泉の仮説を富樫本人に突きつけますが、富樫は自分が黒幕だとは認めずに意味深なことだけを吐いてその場を去ります。
具体的には「正論だけじゃ国は救えないんだよ。」的なことを言います。
あの物言いを考慮するとすべての黒幕は富樫だと判断してまず間違いないでしょう。
つまり、泉の推理は正しかったことになります。
しかし、富樫本人がそれを認め、裁かれるわけではないので何も問題は解決されないまま物語は幕を閉じます。
でも、僕はこれで良かったと思います。
仮に富樫が自首をするなり証拠が見つかって逮捕されるなりすれば勧善懲悪モノとして「めでたしめでたし」でしょう。
しかし、現実の世の中はそんなに単純に物事が解決されるわけじゃないでしょう。
「めでたしめでたし」で終わってしまうと、観客はスッキリした気持ちになり、深く考えることをしません。
ハッピーエンドじゃないからこそ「本当にこれで良かったのか?」と鑑賞後も問いが残るんです。
富樫が言うように「100人の命を救うために1人に犠牲になってもらう」という残酷な考え方が適用されることが実際にあるのかもしれません。
しかし、そんな事実は表には出てきません。
表ざたにならないということは、誰もそのことについて考えるきっかけがないということです。
つまり、本作は考えるきっかけを与えているという意味で非常に重要な存在意義を果たしていると僕は思いました。
ストーリーが複雑
ストーリーが少し複雑で難解に思えました(僕の頭が悪いだけかもしれませんが)。
これは事前に人物相関図を見ていないと混乱しますよ。
引用:カルチュア・パブリッシャーズ 「朽ちないサクラ」公式HP
「君は誰?」みたいなキャラクターも登場します。
被害届を早期に受理しなかったことで大変なことになってしょんぼりしている「辺見さん」っていますよね?
辺見さんとお付き合いをしていた女性が自殺した、という展開が途中で描かれます。
しかし、観ているこっちは「誰??」と思ってしまい、それほど衝撃的な出来事に思えませんでした。
ほとんど登場しない人物が自殺したところで「なぜそのようなことをしたのか?」が一切見えてきません。
だって、その人のお人柄も全く分からないので。
ちなみにこの人、公式HPの人物相関図にも登場しません。
もう少しシンプルな話にしてくれた方が、全体として伝えたいことが伝わりやすかったのかな?って思ってしまいました。
人によっては話についていけずに置いてけぼりを食らった人もいるのではないでしょうか?
もしかしたらもう一度観れば印象が変わるのかもしれません。
気になるツッコミどころも
どうでもいいツッコミですが、いくつか観ていて気になった点があります。
①梶山が偉そう
豊原功補さん演じる梶山は県警捜査一課の「係長」となっていましたが、まるで課長並みの権限を持っているかのような立ち振る舞いをしていたのはなぜでしょう?
僕は県警に在籍したことないので内部事情は知りませんが、たかが係長が大勢の警察の指揮をとり、ましてや公安の課長に対して怒鳴りつけるなんてことがまかり通るのでしょうか?
先ほども述べたとおり豊原さんの演技は大好きでした。
ぼく個人的にMVPです。
しかし、横柄な態度を違和感なく見せるのならば、「係長」ではなく「課長」で良かったんじゃないですか?
現実の警察組織は課長よりも係長が一番前に出てバリバリ動くのかもしれません。
もし県警事情に詳しい方がいたらコメント等で教えていただけると幸いです。
②泉ちゃん!通常業務は?
この話の大前提ですが、泉ちゃんは事務方(行政職員)です。
刑事じゃないんですよ。
そんな泉ちゃんに聞きたい。
「通常業務は滞りなく順調かな?」
本当にどうでもいいツッコミであることは承知の上ですが、泉ちゃんが通常業務している風景が一切描かれません。
まあそれをツッコむのはさすがに野暮か…(笑)
③泉ちゃんのドアップ多すぎ(笑)
杉咲花さん演じる森口泉ちゃんのドアップがこれでもかってくらい映されます。
「もうわかったよ!w」って思ってしまうレベルで見せてきます。
こう思ったのは僕だけでしょうか?
もちろん杉咲花さんのお顔は綺麗なので定期的に映すことで退屈せずに鑑賞できます。
しかし、ここまで見せすぎると「なんか、杉咲さんの顔に頼りすぎてない?」と思ってしまい、製作側の怠惰な姿勢を感じてしまいます。
ごめんなさい、「怠惰」ってのは言い過ぎかもしれませんが、お美しいお顔はたまに見せるからいいんじゃないですか。
あまりドアップを多用するものではないのでは…?と個人的には思いました。
「演出に困ったら杉咲さんの顔でも映して時間稼ぎしとけばいい」なんてことは思ってないとは思いますが(笑)
とはいえ、杉咲花さんのファンにとっては最高のファンサービスムービーになっていたと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
「良作だった!」と家族や親友にオススメできるレベルではありませんでしたが、映画として十分楽しめました。
少し失礼な言い方をすると僕的に「及第点」と言ったところでしょうか。
また、杉咲花さん主演の「アンメット ある脳外科医の日記」がU-NEXTでレンタルされていました(令和6年6月本記事執筆時点)。
レンタルとはいえ、U-NEXTはすぐにポイントがたまってくるんです。
なので、実質タダで観れることも多いです(筆者も常に3000ポイントくらいあります)。
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無料期間楽しんでみて合わなければやめれば良いと思います。
今日もご愛読いただきありがとうございました。
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